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ムーヴィーズ・フロム・マース呑気な映画、テレビ系ぼやきサイト

地獄の黙示録 apocalypse now
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1970年代の終わりにとてつもない規模でその製作中から話題になり完成前から傑作とされ、
実際に上映され映画市場に残る映画として大絶賛されたフランシス・フォード・コッポラ監督の最高傑作だ。
今の映画とは違い完全に実写で構成されたこの映画は
その本物しか持ち得ない物凄い迫力で人の心を強引に押さえ込んでしまうものだ。
当初から難解であるとされいろいろな解釈がなされている。
基本的には小説の映画化なのであるが
小説から離れたところでの極限状態での人間の本質を描こうとするこの作品は
戦争という場面を効果的に用いそれに成功している。
ただし当初の難解さは映画会社の指示による映画の編集のため、その話の核心部分の一つを故意に隠そうとしたために
起こったことなのだということが後の特別完全版であきらかになっている。
当初からこの映画の撮影は荒れ続け元々主役を演じていたヘーベイ・カイテルが
いきなり降りてしまったり(突然の心臓病のためだよ伝えられている。)、
名優マーロン・ブラントが究極のわがままし放題で撮影がすすまなかったり、
本人のイメージそのままで出ているデニス・ホッパーが全く台詞を覚えられないとか、
撮影そのものも撮影場所であるフィリピンが巨大台風に襲われセットが破壊されたりしているため
延期に継ぐ延期をしていたことが当時つたえられていた。
この映画はマーティン・シーン演じる主人公ウィラードが
ベトナムの川を上流に上り、マーロン・ブラント演じるカーツ大佐を暗殺するまでの物語なのだが
オリジナル版と特別完全版ではまるっきり印象が違うものになっている。
オリジナル版では肝心な場面がカットされているため
戦争における恐怖とそれによる人間の心理の葛藤というものを
カーツ大佐とウィラードを描くことによってそれを表現するという形にまとまっている。
ところがこれが特別完全版では何故戦争をするのか、
そうして何故米国はアメリカで戦争をしているのか
というオリジナルではなかった主張が大きく組み込まれている。
人間の心理と反戦というものが実はこの映画の最も重要なテーマだということがはじめて理解でき
全てがつながったのが特別完全版だ。
ファイナルシーンも全く違い、上層部の指示をまっとうするウィラードと
何か他の事に気が付き去っていくウィラードという具合になっていく。
(ただしカーツ大佐の暗殺は同じようにえがかれている)
映画そのものの魅力が画面全体から溢れ
それだけで人をひきつけることが出来る魔法のような映画だ。
たとえ意図しないカットのため物語の半分が抜け落ちていようとも
人の心を捉えることに成功した最後の映画と言っても過言ではない大傑作だ。
もう300回以上みているがその魅力は増すことはあれ減ることはない。
映画の面白さは一体どこにあるのだということの回答になりうる数少ない本物の映画だ。

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